それからは誰も喋りません。 雰囲気だけだったら夏に行ったトンネルの数倍怖かったです。 腐った枯葉を踏む度に嫌な感じの感触がしました。 時々、お地蔵様が並んでいて、わたしはなんとなく、そのお地蔵様と顔を合わせない様に心がけていました。 しばらく進むと、先頭を歩いていた男前の先輩が、声をあげました。 「もしかして、これ?ちょっと降りてみる」 私が他の先輩達の肩越しに先をみると、洞穴の様な洞窟がそこにあり、石造りの階段が下に続いていました。 皆、続々と中に入って行きます。 私もそれに続こうとしたとき、左手の茂みから女の人の叫び声が聴こえました。 流石に少し驚きましたが、その声が友人のSに似ていたこともあり、後ろにいた先輩に「今のSの声でしたよね?何かあったんですかね?」と声をかけました。 先輩は、さあ、声は聴こえたけど、と呟いて首を傾げます。 続きを読む