転載元 : http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1494159838/ 1: 名無しで叶える物語 2017/05/07(日) 21:23:58.82ID:z6/+AaHV.net 休みの日は二人で裸になってベッドに転がって、だらだらと時間を無意味に過ごす。そんな生活を続けてもうどのくらい続くのだろうか。 曜さんの綺麗に澄んだ水色の瞳は、だんだんとくすんだ色になり、今ではもう灰を溜めこんだ湖のような色になっていた。 それでも私の指が曜さんの肌に触れると、曜さんの虚ろな瞳に微かに光が灯った気がして、私は時たま水色の瞳を夢見て触れる。 「……あったかい」 いつも暖かかった曜さんの身体は、いつの日かには冷え切っていて、私が曜さんに触れると割れたガラスみたいに微笑んでくれた。 「ヨハネちゃん、好き」 私を幸せにする魔法の言葉は、いつしか私を縛る呪いの言葉へと移り変わっている。 「だから、私の『特別』でいてね」 「当たり前よ。ヨハネはずっと曜さんと一緒にいるから」 本当に、曜さんの瞳には私が映っているのだろうか。曜さんの瞳に映っているのは、津島善子なんだろうか。それともヨハネなんだろうか。それとも……。 私の名前を曜さんが呼ばなくなって、もうずいぶんと経つ――。 2: 名無しで叶える物語 2017/05/07(日) 21:24:39.58ID:z6/+AaHV.net 曜さんが怪我をして、飛び込みが出来ない体になったのは一年ほど前だろうか。 飛び込みが出来なくなった初めの数か月は、飛び込みコーチとして強化選手の指導に力を入れていた。 それでも曜さんは徐々に、自分が今まで打ち込み続けてきた『人生』を奪われて、少しずつ調子を崩し始めていた。 3: 名無しで叶える物語 2017/05/07(日) 21:25:25.55ID:z6/+AaHV.net 「善子ちゃん、私のこと好き?」 「どしたのよ、急に」 その日、初めて曜さんから私が曜さんの事を好きかどうか聞いてきた。初めての質問で、私は曜さんが何か冗談でも言っているのかな、なんて思ってた。 曜さんもちょっとへらへらした笑い顔だったから、私は尚更まともに取り合おうとは思わなかった。 「……いや、ちょっと聞いてみようかなって」 「……変な曜さん」 今思えば曜さんが私の気持ちを確かめるなんて、一度たりともなかった。そう、曜さんはいつだって私の気持ちを疑う事なんてしなかった。 私も曜さんがただ好きだったし、それにとても大好きだったし、そんな疑問を曜さんが抱くなんて思いもよらなかった。 4: 名無しで叶える物語 2017/05/07(日) 21:25:59.55ID:z6/+AaHV.net その質問があった日、台所で私が晩御飯の用意をしている時だった。 「善子ちゃん、好きだよ」 急に耳元で囁かれた後、耳を甘噛みされた。 「え? 曜さ――ひゃっ!?」 その日、珍しく――というか曜さんは初めてベッドで寝転んでいる以外の私を求めてきた。しかも結構激しかった。 続きを読む