転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492533237/ 1 : ◆P4gW9oKees 2017/04/19(水) 01:33:58.13 ID:Gvx3iZo50 白菊ほたるちゃんの誕生日記念&総選挙応援SSとして書きました。 こちらで書かせていただくのは初めてですがよろしくお願いいたします。 独自解釈・独自設定・コレジャナイ感等々ありますのでご注意ください。 2 : ◆P4gW9oKees 2017/04/19(水) 01:37:13.61 ID:Gvx3iZo50 「はぁ……」 今日もオーディションに落ちてしまいました。 所属していたプロダクションはいくつも倒産し、今のプロダクションに所属させていただいてから早数ヶ月。 レッスンと平行しながらいくつかのオーディションも受けさせてもらっていますが、まだ良い結果はありません。 ふと見つけた公園に入り、ベンチに座ります。 空を仰いでみると、太陽がこれでもか、というくらいに輝いています。 それは、私にはとてもまぶしすぎて……。 腕を伸ばし、手のひらでそれを遮ります。 その手を握ってみても、掴めるものは何もありません。 この日、私のプロデューサーさんは他に担当しているアイドルの付き添いをしているため、オーディション会場が近かった私は一人で事務所に帰ってきました。 「ただいま戻りました」 「あ、ほたるちゃん。おかえりなさい」 事務所にはちひろさんがいました。 「ほたるちゃん、悪いんですけれど、今からお留守番頼めますか?ちょっと出かけなければいけなくなってしまって」 「は、はい。大丈夫です」 「ありがとうございます。じゃあ、よろしくお願いしますね」 また、一人になってしまいました。 3 : ◆P4gW9oKees 2017/04/19(水) 01:44:59.71 ID:Gvx3iZo50 「ただいま戻りました!」 本を読んでしばらく待っていると、プロデューサーさんが戻ってきました。 「おかえりなさい、プロデューサーさん」 「あれ?ほたる一人だけか?ちひろさんは?」 「ちひろさんは出かける用事ができてしまったそうで、私がお留守番を頼まれたんです」 「そうか。ありがとうな、ほたる」 「い、いえ…」 「それで、今日のオーディションはどうだった?確か即日発表だったよな」 それは、できれば聞かれたくないことでした。 でも、聞かれるのはわかっていましたし、答えないわけにもいきません。 「はい……。その…今日もダメ、でした。…すみません」 「そうか…」 プロデューサーさんが、残念そうな顔をします。 私は、その顔を見るたびにとても申し訳なくなります。 私のせいで…すみません。 「でもまぁ、次があるさ!」 「次がある」 その言葉を、何度聞いたことでしょう。 最初のプロダクションでそれを2回聞いたあと、その「次」はありませんでした。 次のプロダクションでは1回目のあと、もうその「次」はありませんでした。 「…なんて……」 「ほたる?」 「"次"なんてありませんよッ!!」 「っ……」 まるで、自分の口が自分のものではないように、勝手に言葉を吐き出します。 「前も、その前も、そうでした!『"次"頑張ればいい』とか『また"次"がある』とかそんなことばっかり!本当は、"次"なんてないくせにッ!」 「ほたる……」 「プロデューサーさんも、そう思ってるんですよね?私には未来(つぎ)なんかない、疫病神なんだ、って!」 「ほたる!」 めちゃくちゃに叫んでいた私の身体は、そっと何かに包まれました。 「ほたる、すまなかった…。いっぱい心配かけたな……」 プロデューサーさんの腕に包まれながら、涙があふれ出てきてしまいます。 違うんです……プロデューサーさんは悪くありません…… 私の不幸のせいで……私が悪いんです…… そう言いたいのに、口から出てくるのは嗚咽ばかり。 「ほたるには、"次"を目指してほしい。次っていうのは、未来っていうのはそんな悲観して見るもんじゃない。"未来"は目指すべき目標なんだ」 プロデューサーさんの手が、私の頭をそっと撫でます。 「だから、一緒に頑張ろう。ほたる」 「…っはい。プロデューサーさん」 続きを読む