◆大相撲春場所14日目 ○照ノ富士(はたき込み)琴奨菊●(25日・エディオンアリーナ大阪) 大関・照ノ富士が関脇・琴奨菊をはたき込み、単独トップに立った。結びで横綱・稀勢の里が敗れたため2015年夏場所以来、11場所ぶり2度目の賜杯に王手をかけた。立ち合いで変化し、観客の激しいブーイングを浴びたが、古傷の左膝を痛めており、奇襲戦法で1敗を守った。千秋楽で稀勢の里との直接対決を制すれば優勝が決まる。6敗目の琴奨菊は、1場所での大関復帰がなくなった。 「琴バウアー」に沸く館内で、照ノ富士は眉間にしわを寄せていた。「(変化を決めたのは土俵に)上がってから。待ったの時に気持ちが…。一度決めたら迷ったらいかん」。立ち合いが一度不成立になっても決意は変わらない。両手をついて構え、当たらずに右へ身を翻した。勢い余った琴奨菊は土俵下まで転がった。 観客は驚きで一瞬静まり、激しいヤジが飛び交った。「モンゴルに帰れ!」「恥を知れ!」。期待外れの結末を受け、観客は不満を怒りに変えて大関に浴びせた。協会幹部も落胆を隠せない。土俵下の二所ノ関審判部長(元大関・若嶋津)は「がっかりした。(横綱に)上がる人がね…。ブーイングも分かるよ。優勝したら綱取り? 内容(の問題)もあるしな」と苦い顔。八角理事長(元横綱・北勝海)も「勝ちたい気持ちは分かるけど、大関だからね。お客さんが見てるわけだから。残念」と苦言を呈した。賜杯を抱けば夏場所(5月14日初日・両国国技館)が綱取りになる可能性が高いが、印象を悪くした。 8勝と2ケタ黒星を繰り返した1年間を思えば、なりふり構っていられない。照ノ富士は朝稽古を途中で切り上げ、古傷の左膝の治療を受けた。鶴竜を破った前日13日目の取組後に「外掛けを受けて(膝が)やばかった」と漏らし、この日は患部に右膝の2倍の量のテーピングを施して勝負に臨んだ。奇襲はリスクを承知しての判断だった。 千秋楽では手負いの新横綱との大一番が待つ。「少しでも良くなってほしい」とライバルを気遣いながらも「最後はしっかりやるだけ。全力でやるだけ」と語気を強め一戦必勝の決意を固めた。(網野 大一郎) スポーツ報知 3/26(日) 6:05配信 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170326-00000066-sph-spo 続きを読む