転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1490272389/ 1 : ◆vFEWRAh8RU 2017/03/23(木) 21:33:09.69 ID:feup4BK40 濡れた草むらに思い切り足を踏み込むと、水滴が勢い良く宙に舞い、キラキラと光った。昨日一日しとしと降り続いた雨を忘れてしまうくらい、今日は晴れだ。 2 : ◆vFEWRAh8RU 2017/03/23(木) 21:34:06.04 ID:feup4BK40 あたしの一日はランニングから始まる。元々は空手のために始めた習慣だが、アイドルにとっても体力は資本なのでずっと続けている。河川敷を走って、いつもはそのまま道場に向かうのだが、今日は少し特別だ。今からやって来るその特別な時を思うと、気持ちがはやる。 3 : ◆vFEWRAh8RU 2017/03/23(木) 21:34:49.21 ID:feup4BK40 そんなことを考えていると、すぐに足音が聞こえてきた。あたしにはその足音が誰のものか、なんとなくわかる。まだ心の準備は十分には整っていないけれど、今更思い悩むことは何もない。覚悟を決める。 4 : ◆vFEWRAh8RU 2017/03/23(木) 21:35:51.06 ID:feup4BK40 「おはよう。有香、誕生日おめでとう!」 「押忍! ありがとうございます!」かけられたその言葉が嬉しくて、あたしの顔は思わずほころぶ。今、自分の顔はとても空手少女には見えない、なんとも情けない表情をしていることだろう。道場では絶対に見せられない。 5 : ◆vFEWRAh8RU 2017/03/23(木) 21:36:49.23 ID:feup4BK40 「俺より早く来ていたみたいだけれど、待ったか?」 「いえ、あたしも今来たところです」 やってきたその人はあたしのプロデューサー。あたしのアイドル活動を一番近くで支えてくれている人だ。 続きを読む