転載元 : http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1488789671/ 1: 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2017/03/06(月) 17:41:11.67 ID:U77CqHbx.net 小さいときはいつも泣いてばかりで、千歌ちゃんになぐさめてもらってたっけ。 ぎゅっと私を抱きしめ、暖かな言葉をかけてくれる彼女を、私はいつからか好きになっていた。 「渡辺さん、次ラストね」 「あ、はい!ありがとうございます」 2: 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2017/03/06(月) 17:41:37.72 ID:U77CqHbx.net …もったいないことをしてしまった。 大会まであまり時間がないのに、何をやっているんだろう。 集中しよう。目を閉じて、大きく深呼吸。 甲高いホイッスルの音を聞き、水面に向かって飛び込む。 大きなしぶきをあげて勢いよく泳ぎ出す。 あとはもうなんにも考えずに泳ぐだけ。 周りの音が遮断されて、暗闇に引きずり込まれていくようなこの感覚が、私のお気に入りだった。 3: 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2017/03/06(月) 17:42:01.97 ID:U77CqHbx.net 「うん、いいタイムだね。これなら次の大会もばっちり!」 「本当?よかった!じゃあ、あがるね。お疲れ様です!」 チームメイトたちへの返事もそこそこに、私はシャワー室へと向かった。 カーテンを閉めて栓を捻る。 ムワッと広がる湯気が私を包んでくれる。 4: 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2017/03/06(月) 17:42:27.41 ID:U77CqHbx.net 力なく床にへたれこんですすり泣く。 これが、私の日常になっていた。 ひとしきり泣いて気分が落ち着いたら、今度はゆっくりとお湯を浴びる。 すっかり冷えてしまった体に生気が戻るような気がして、とても心地よかった。 今日はこれからAqoursの練習に行って、みんなの衣装を進めて…それから、数学の課題も出てたっけ。 ……うん。大丈夫。私はできる。 小さく呟いて、シャワー室を出た。 5: 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2017/03/06(月) 17:43:22.98 ID:U77CqHbx.net 部室前に着いて、中に入る前に大きく深呼吸。 今日も元気で明るい渡辺曜を演じよう。それをみんなが望んでいるから。私がそうありたいから。 「みんな、おはヨーソロー!」 「おはよう、曜ちゃん」 「あ、髪の毛濡れてるよ?」 「水泳部の方行ってたんだ!」 続きを読む