転載元 : http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1452423039/ 1: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2016/01/10(日) 19:50:39.83 ID:dJHAiHJ8.net 寂しいのも悲しいのも、ぜんぶ気のせいだ。 だって、寂しい気もちや悲しい気もちは、友達と別れた人が感じるものじゃないか。 私には、友達なんか、そもそものはじめから、いなかったじゃないか。 にこ 「寂しくなんか、ないもんね」 誰もいなくなった部室で、ひとりごとをつぶやいた。 にこ 「悲しくなんか、ないもんね」 行き場のない言葉をこぼしたあとで、そっと本音を飲みこんだ。 本音は苦くて、かすかに甘い。 チョコレート・ケーキの、味がする。 2: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2016/01/10(日) 19:51:28.05 ID:dJHAiHJ8.net そんな虚勢に対して「嘘つき」と言ってくれる人も、この部屋にはいない。 だってこの部屋にいるのは、私だけだから。 私は私のことを、嘘つきと認めるわけにはいかないのだ。 私が嘘つきでいることを認めたら、私は私でいられなくなってしまう気がするのだ。 嘘と空元気で塗り固めた、このハリボテの私が、脆くも崩れ落ちてしまう気がするのだ。 にこ 「……今日もいい天気ね」 3: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2016/01/10(日) 19:51:55.26 ID:dJHAiHJ8.net ???「だって、可能性感じたんだ、そうだ、進めー」 窓の外から元気な歌声がきこえてきたので、カーテンの隙間から覗いてみた。 名前も知らない後輩の仲良し三人組が、歌をうたっていらっしゃる。 ???「後悔したくない、目の前に」 ???「僕らの道があるー」 ……わっ、急に踊り出したぞ、あいつら。 にこ 「きっとアホなのね、底抜けの……」 底抜けの眩しい笑顔を正視できずに、私はカーテンを閉じた。 4: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2016/01/10(日) 19:53:05.59 ID:dJHAiHJ8.net なべて世はこともなし。 私が笑顔にしなくても、皆はもうすでに笑顔になってるじゃないか。 世界の中で、笑ってないのは、私だけなんじゃなかろうか。 にこ 「それならそれでいいけど」 しかし、世界には、晴れの日にカーテンを引いた部屋に閉じこもっている人が、私のほかにもいるのではなかろうか。 にこ 「確かめてみる必要がありそうね」 確かめるためには、外に出るには及ばない。 そう、私には強い味方、インターネットがあるではないか。 そこで私は早速、秘密のホームページを開設することにした。 続きを読む