18日、ブンデスリーガ第21節が行われ、原口元気の所属するヘルタ・ベルリンはホームのオリンピアシュタディオンに王者バイエルンを迎えた。 ミッドウィークにチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦ファーストレグを戦い、アーセナル相手にホームで5-1と大勝したバイエルン。その疲労を考慮してか、この試合ではロベルト・レヴァンドフスキ、シャビ・アロンソ、ハビ・マルティネスをベンチに置き、ダビド・アラバをセンターバックで、トーマス・ミュラーを1トップで起用するなど、普段から大幅にメンバーを代えてベルリンに乗り込んだ。 一方、原口元気らお馴染みのメンバーを先発起用したヘルタは、バイエルン相手に直近の11試合で勝ちはおろか引き分けすらないという相性の悪いデータがある。さらに637分無得点と攻撃陣が停滞中だが、この日は立ち上がりから積極的に前からプレスをかけ、鋭いカウンターでバイエルン守備陣を慌てさせていた。 すると21分、左サイドでヘルタがFKを獲得する。マルヴィン・プラッテンハルトがゴールに向かう低めのボールを蹴ると、ニアサイドでヴェダド・イビシェビッチが合わせ、GKマヌエル・ノイアーを破りヘルタが先制に成功する。 先制を許したバイエルンは、1トップのミュラーが前線で起点になれず、ロッベン、ドグラス・コスタの両翼も窮屈なプレーを強いられる。さらにこの日のピッチ状態が悪いこともあり、パススピードが上がらず思うように決定的なチャンスを作ることができない。38分には、原口の突破から得た右CKのこぼれ球をイビシェビッチが押し込んでネットを揺らすが、オフサイドによりノーゴール。ヘルタが自分たちのペースで試合を進めながら1点リードで試合を折り返した。 後半、メンバーを代えずに臨んだバイエルンだが、前半同様に攻撃の形を作れず、ロッベンとコスタの個人技でしかヘルタゴールを脅かすことができない。56分には、カウンターからサロモン・カルーがドリブルで持ち上がり、ラストパスをペナルティーエリア手前右の原口が捉える。しかし、渾身のシュートはゴール上へと大きく打ち上げてしまう。 攻め手を欠くバイエルンは61分、ヨシュア・キミヒに代えてアロンソ、アルトゥーロ・ビダルに代えてレヴァンドフスキを投入。これにより、チアゴ・アルカンタラとアロンソで中盤を作り、レヴァンドフスキとミュラーが前線で動く、普段の形に近いメンバー構成となる。 さらに77分、ベルナトに代えてキングスレイ・コマンを投入。これにより、右からフィリップ・ラーム、マッツ・フンメルス、アラバの3バックとなり、非常に攻撃的なシステムでヘルタに猛攻を仕掛ける。 これに対し、ヘルタも無闇にラインを下げて構えるのではなく、しっかりと前線からのプレスを続け、何人かの選手は足がつりながらも全員守備の任務を遂行。この試合が決勝戦であるかのような非常に高い集中力を見せ、88分にアラバの際どいFKをGKルネ・ヤーステインがはじいた際には、まるでPKを止めたかのようにチームメイトが駆け寄った。 終盤はバイエルンがフンメルスを上げてパワープレーを仕掛け、ヘルタもイビシェビッチ、カルー、そして原口と、攻撃的なポジションながら守備で奮闘を見せた3人を入れ替える。ノイアーもハーフェーラインまで上がってロングボールを供給する役に回るほど追い詰められたバイエルンだったが、集中を切らさないヘルタ守備陣もこれを跳ね返し続ける。 そしてアディショナルタイムが提示されていた5分に差し掛かろうとした瞬間、左サイドで仕掛けたコマンが倒されFKを獲得する。すでに時間は5分を経過し、正真正銘、これがラストプレーであり、両チームにとって運命を決めるプレー。ヘルタは守りきれば勝ち点3、バイエルンは決めれば勝ち点1――。ヘルタのゴール前にほぼすべての選手が密集する中、キッカーのチアゴはマイナス気味のキックを選択。完全にフリーとなっていたロッベンのシュートはゴールライン上にいたDFに当たるが、こぼれ球をレヴァンドフスキが押し込み、7万人が詰め掛けたオリンピアシュタディオンは歓声と悲鳴が交じり合い、混沌の中で終了の笛が鳴り響いた。 90分間、そしてアディショナルタイムの5分間も含め、自分たちのプラン通りに試合を進めていたヘルタだったが、最後の最後に許したセットプレーで勝利を逃し、バイエルンは勝ち点1を手にした。ヘルタのチームとしての任務遂行能力の高さと、ドイツ絶対王者の底力が凝縮された一戦だった。 ■試合結果 ヘルタ・ベルリン 1-1 バイエルン ■得点者 ヘルタ:イビシェビッチ(21分) バイエルン:レヴァンドフスキ(90+7分) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170219-00000026-goal-socc 続きを読む