転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1485017798/ 1 : ◆TOYOUsnVr. 2017/01/22(日) 01:56:39.24 ID:xsB5Pcfe0 事務所のソファに腰掛け、いつもの如く読書に興じていたところ凛さんがやってきました。 「お疲れ様。邪魔だったかな」 「……いえ、そんなことは。凛さんはこれからお仕事でしょうか?」 「ううん。お仕事は午前中で、午後はレッスンだったんだ」 「なるほど、それで今日は大荷物なのですね」 「うん。やっぱり冬は荷物がかさばるよね」 「そう、ですね。レッスンが始まってからは暑くなるので上着を持ってきても結局は脱いでしまうのですが」 「始まる前、だよね」 「はい。こればかりはどうにも……」 「まぁ、愚痴っても仕方のないことだよね。ところで文香は今日のお仕事は?」 「先程、撮影を終えて戻って来たところです」 「じゃあ、もう上がりなんだ」 「ええ、一息ついてから帰ろうかと思い……」 「じゃあ、私と一緒だ」 そう言って、ふふっとはにかむ凛さんでした。 凛さんは私の横に座ると、かわいらしいハンドバッグからスマートフォンを取り出し、私に見せてくださいました。 「これ、どうかな?」 「……カバーを変えられたのですね」 「うん。つい、可愛くて」 チョコレートの形をした素敵なカバーでした。 ああ、凛さんはきっと今日一日これを誰かに見せたくて見せたくて、たまらなかったのだろうなぁ、と思うと、思わず頬が緩みます。 「はい、とても素敵だと思います。それはどちらで……?」 「ああ、Amazonで買ったんだ」 「……今、何と?」 「え? いや、Amazonで買ったんだ」 「……なるほど」 南アメリカに広がる熱帯雨林、アマゾン。 凛さんが行動力に優れた方だということは存じておりましたが、よもやここまでとは思いもしませんでした。 2 : ◆TOYOUsnVr. 2017/01/22(日) 01:57:30.26 ID:xsB5Pcfe0 「すみません。そのお話、詳しく聞かせていただいても……?」 「え、このカバーを買ったって話?」 「はい。後学のためにも、と」 「んー、よくわかんないし、あんまりおもしろい話でもないと思うけど、それでいいなら」 「ありがとうございます」 凛さんが如何にして、あのチョコレート型のスマートフォンカバーを得るに至ったか。 きっと私には想像もつかないような大冒険があったに違いありません。 これは、これだけは聞いておかなくては。 3 : ◆TOYOUsnVr. 2017/01/22(日) 01:57:56.17 ID:xsB5Pcfe0 「んー、まず買おうかな、って思った理由は前のカバーがぼろぼろになっちゃったからなんだよね」 「なるほど。それで新しいものを、と思ったわけなのですね」 「うん。それで、いいのないかなー、って探してたら見つけたんだ」 「……えっと、それはアマゾンで?」 「うん。Amazonで」 急に舞台が南米へと飛んでしまいました。 まさかの超展開です。 凛さんにとってはアマゾンに到着するまでの紆余曲折は語るまでもない、ということなのでしょうか。 続きを読む