転載元 : http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1454086232/ 1: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2016/01/30(土) 01:50:32.16 ID:C2d8M5iA.net 幼い頃、きわめて聡明な少女であった私は、同じく利発な妹の亜里沙と一緒に、よく本を読んだ。 その中の一冊に、コメディアンがパイをぶつけられている写真が載っていた。 かれは写真の中で、生クリームを顔じゅうに浴びて、アホの国の皇帝のような顔になっていた。 「ねえお姉ちゃん、これは何の写真?」 亜里沙は、私にそう尋ねた。 「アホの国の皇帝がパイを浴びている写真よ」 その私の答えだけでは得心がいかない様子で、亜里沙が首をかしげた。 「どうして、この人、笑ってるの?」 パイの秘密に答えられないまま、私はいつのまにか高校生になった。 そしていつのまにか、卒業の月を迎えていた。 2: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2016/01/30(土) 01:52:52.20 ID:C2d8M5iA.net ―――――― 【三月のある日、学校の廊下にて】 絵里 「海未」 海未 「何でしょう」 絵里 「Angelic Angelの歌詞、とってもステキね」 海未 「ありがとうございます。 そう言ってもらえると、作詞担当としては嬉しいですよ」 絵里 「謎めいた場面設定がいいわよね。 いろんな期待を抱かせてくれるのよ」 海未 「そうですね。 聴く人に、色々な想像をしてもらえればと思います」 3: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2016/01/30(土) 01:54:00.16 ID:C2d8M5iA.net 絵里 「でも歌う側としては、ちょっとイメージを共有しておきたいと思うの」 海未 「確かに、そうかもしれません」 絵里 「だから、ひとつ質問させてもらってもいいかしら」 海未 「もちろんです。 何でしょう?」 絵里 「もっと、何が欲しいの?」 海未 「えーと、それは……」 絵里 「ねえ教えて、海未」 4: 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2016/01/30(土) 01:55:39.07 ID:C2d8M5iA.net 海未 「……何でもいいのです。 エンジェルは、『もっと』が好きなのであって、 『もっと』得られるのが何であるかは、また別の話なのです」 絵里 「xがいくらでも得られる、という状況が好きなのであって、 そこで得られるxは何でもよい、というわけね」 海未 「そうです。 要するに、もっとおかわりできる、とか、もっと寝ていられる、とかいう状況ですね。 そういう状況って、すごく良いと思いませんか」 絵里 「たとえば、ガリガリ君の当たり棒が出たときとか、休みの日に二度寝できるとかいう状況ね。 たしかにそういうときって、ハッピーな気もちになるわよね」 海未 「さもありなん」 続きを読む